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「アタイ、好きや。あんたも、あんたのすることもすきや」

「一ばん怖いものを見たかったんや。好きな男の人が出来たときに。怖うてもすがれるから。・・そんな人が出来たら虎見たい、と思てた。もし出来へんかったら一生、ほんものの虎は見られへん、それでもしょうがない、思うてたんや」


(ジョゼの台詞より)
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妻夫木聡主演の映画がとても有名ですね。ジョゼ役は池脇千鶴です。
くるりの「ハイウェイ」が主題歌で、自分的にはそれだけでも満足なくらいですが、内容もとても濃厚でした。
僕も映画を見て感銘を受け、これは原作を読まなければいけないなと思い、文庫版で買ってきました。
表題の短編を含めた田辺聖子さんの短編集ですね。

田辺聖子さんの作品を読むのは初めてだったんですが、1ページ目を開いてまず衝撃でした。
よ、読みにくい・・・。笑

と思ったのも最初だけでどんどんページを捲るうちに、なんて自由に文章を書く人だろうと思いました。
関西弁を主体とした作品が多く、テンポ感と人間臭さが素晴らしいです。

ここで表題の「ジョゼと虎と魚たち」について

大阪で暮らす貧乏大学生の恒夫と先天的に足に障害を持って車椅子生活をするジョゼの話。
『悪意』によって運命的に出会う二人の恋愛の物語です。

普通、こういう話を書くとメインであるはずの障害がネックとなってしまい、どっちつかずでグダグダなってしまうパターンが多いのですが、この話は怖いぐらい自然でした。

人生で初めて愛する人間を見つけたが、彼がいつかは去るだろうことを理解しているジョゼ。
普通だったら強がりか投げやりな気持ちで思っているように思えますが、これは本心から思っていることだと分かります。いつか去ることは事実として、「最高の状態を楽しめるだけ楽しまなければ」といった感じです。
自分的にはもはや上のジョゼの台詞だけで気持ちがいっぱいになってしまいます。

恒夫の愛も本当だろうけれど、気持ちを前に向かせれば向かせる程、ジョゼの障害が『障害』になってしまう。真剣に思えば絶対にそこを通らなければならないということが、自責の気持ちになってしまう。

リアルで自然で、そして少し残酷な話です。
その分、人間の気持ち面の強さなんかが浮き彫りになっていて、なんと表現していいのか分かりませんが、力を持った作品です。

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