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自分の心の殻に閉じこもり、社会と交わらないようにと暮らす主人公の透。
家の事情で転校を繰り返すばかりで友達もいない。
家では母親のことを「あんた」と呼び、父親を他人のように見る。

そんな生活の中で彼は「光」という架空の友達を作りだし(非意識的に)、兄弟のような関係の彼と社会を罵りながら生きていた。
そんな彼が社会に嫌でも向き合わうことになり、成長する話。

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読み終わって一言、感想は「なんて無責任な話だ」というものでした。
社会の描き方、社会に対するキャラクターのアクション、それらの感覚を読み手に受け渡すやり方、すべてが無責任に感じました。

作品は、辻仁成さんの処女作です。
と、あとがきに書いてありました。笑

最近読む機会が多かったので、この際一気に読んでしまおうかなと思って買いましたが、正直ちょっと失敗だったかなと感じています。
辻仁成さんの作品は全体的に社会や世界に対してネガティブなものが多いように思えますが、この作品は別格にネガティブです。学生時代のいやなことを全部列挙してみたという感じ。
登場人物の人格やアクションが衝撃的、という風な演出をしたいようにしか思えませんし、文章を読んでみるとそれ自体に悪意しか感じません。

社会批判というだけではないだろうけど、中身はそれ自体を超えていない。
なんとも自分勝手で中途半端です。

学生時代の心の闇と社会の見え方、という風に書いたからこうなったのかも知れないけど、
それにしてもなあ・・。と思ってしまいます。
そういう影の濃い時期だからこそ見えている光なんかもあるわけだし、世の中を批判するのと衝動的な暴力性を見せられても感慨はありません。

という感じですね。ちょっと文句を言いすぎたかな・・。

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愛する者を奪われるという虞れから嫉妬するのではない。自分が傷つくのが怖いから嫉妬の鎧を着てしまうのであり、つまり嫉妬とは自己愛に他ならない。
もしも愛を永遠に維持させたいと願うなら、人間はまず愛する者に嫉妬をしないことを最初に自身に誓わなければならないだろう。

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以前に読んだ辻仁成さんの短編で、嫉妬に関する見解が興味深いものだったので、見てからにそんな内容の作品を読んでみました。笑

仕事仲間で尊敬できる先輩である人間に恋人を奪われそうになるという恐怖を抱いて、崩壊の道を自ら進んでしまう男の話です。
辻仁成さんのこういった話は読んでいて、本当に歯がゆいです。
普通はこういうアプローチをするだろうという手段を選ばない主人公を見ているといい意味でイライラして、作品を読み進めてしまいます。策略でしょうか。笑

恋愛の話自体を見ていると、何だか安っぽい話という印象を受けてしまいますが、
恋愛というのはどうしてもその域を超えられないものですね。
どれだけ高い意識を持っていても、自分がその中に入ると抗えないものだということは分かります。

そんな中で愛とは何かと問いかけている作品でした。
嫉妬からくるエネルギーの凄さを感じました。また、相手を許容するということも。

最終的になると、やはり「許容」というものが恋愛においての大事な部分であるように思えます。
相手を自分の思うようにしたり、嫉妬したり、そういった上っ面の愛は綺麗に見えますが、それ以上に踏み込むことはできない。
バックグラウンドに社会性なんかがあると、どうにも安っぽくなりますね。

全てを許容できる人間になりたいものです。
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ぼくたちは見つめあった。長い間見つめあったが、それ以上の議論をする気にはなれなかった。彼女の瞳の中には、もうぼくは映っていなかった。気がつかなかっただけで、最初から映ってなかったのかもしれない。ぼくにしたって、本当の彼女を見つめていたのかどうか疑わしい。付き合いだした頃はよく見つめ合ったが、あの頃の二人は何を見て微笑みあっていたのだろう?
彼女の視線は、ぼくの体を突き抜け、後方に横たわる別の次元の広大な空間を見つめていた。振り返っても、その空間はぼくには見えなかった。

(音の地図 より)
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音にまつわる中編が2つとその他の短編が1つ入っている本です。
作品自体が音にまつわるということを前提としていますが、音に関するエピソードはそこまで表立って出てきていないように思えます。エピソード自体は興味深いものがありますが、どちらかというとその傍にいる人間の話というものでしょうか。

『音の地図』、『グラスウールの城』、『ゴーストライター』の3つの作品から成っています。
一作目の印象が強すぎたせいか、後ろの2つの印象がどうも薄かったです。なので、感想は割愛させて頂いて、一作目の『音の地図』のみを。

大学生から付き合っているが、結婚まではどうしてもいかない彼女を持つ公務員の「僕」。気持ちの交わることのない彼女だが、自分にとっては唯一のものとしか思えず、ただ受け入れることしかできない。そんな生活の中で、肉体関係と自由な関係を持つ女性も存在し、自分の相手に対する価値観を感じ揺れ動く。
そんな中で学生時代の友達と偶然出会い、行動を共にするようになる。
いい方にというわけではないが、少しずつ前に進んでいく、というような話です。

抽象的で分かりにくいあらすじになってしまいましたが、作品自体はとても現実的なものです。
決して混じり合うことのない視線同士、というものがリアル過ぎて内臓をしめつけられたものです。笑

求める度合いが大きくなればなるほど、交わるものは少なくなっていく。
低い、それこそ誰もが持っているような価値観では人は誰とでも(というわけでもないですが)感覚を共有することができます。その逆は。

決して混じり合うことのないということはやはり存在します。むしろ、世の中の大多数はそれのように感じられ、なんだか悲しいことだらけのような感じがします。
人と人との関係性が、お互いの価値観に関する討論だけだとしたら、一体どうしたらいいんでしょうか。

作品からは脱線しましたが、そんなことを考えさせられるような作品でした。
ひとつだけ文句を言うとしたら、「で、その後はどうしたらいいんですか?」と思ってしまうような終わり方をどれもしています。「その先は考えて下さい」というスタンスだとしたら、それはそれで構いませんが、そこが一番重要なポイントなんじゃないかと思ってしまいますね。

しかし、心の琴線を震わされたという感覚はあります。
他の作品も読んでみたいという気持ちになりますね。

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