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四つの物語が並走して進む。ように見える騙し絵のような作品です。
伏線を張るのが大好きな伊坂さんの人間性が全開な話ですね。
有名な作品なのであらすじは省略します。笑

四つの物語がそれぞれ絡み合い、登場する人間がそれぞれの働きをして綺麗にまとまった話を作っています。

そういう意味では巧妙にできてるいい作品だな、と思いました。
読んでいて飽きないし、うまく伏線を張ってくれてるから展開も分かりやすいんですが、
そのしれっとした感じがちょっと気に食わなかったです。笑

いい作品であることは間違いないので、気になった伏線の張り方に何点か文句を。

・黒猫のミケの生死で時系列の伏線を張っているのですが、猫の生死に関わるポイントが黒澤のエピソードと河原崎のエピソードの前後関係しか表していない。こっちの時間の方が先だよって示すためだけに猫を無駄に一匹殺すってのは、お話とはいえ気持ちいいもんじゃないですね。
・あと、豊田が若者に発砲した後に黒澤のエピソードに移って、『どこかで銃声が聞こえた気がした』とありますが、これは意味をなさない描写ですね。時差を錯覚で埋めるためだけに書かれたもののように思えます。(さかのぼってみても、銃声が鳴るようなシーンはない)
・老夫婦が銃を持っているシーンもあります。偶然入手したとありますが、これは誰が見ても豊田の銃が回ってきたと想像してしまうと。

あと何と言っても、
・カカシのエピソードが不自然以外の何者でもない!!笑
カカシだけはやめて欲しかった・・。ファンの方はこういうのが嬉しいんですかね。本当に謎です。
しかも物語に何も関係ないっていう・・。

以上のような、思わせぶりな伏線の張り方が混乱を招きます(カカシは別として。笑)。本を冒頭から初見で読んでいる時には、伏線を乱立させてどの伏線をピックアップして推測するかでドキドキしますが、時系列にまとめなおすと無用の長物でしかないですね。

逆に言えば、そこまで伏線を立てたんだったら最終的に時系列で直した時に矛盾を生ませたりして、何通りかのストーリーの可能性を生ませてもいいんじゃないかと思いました。
というか、ここまで思わせぶってるんだから絶対アナザーストーリーがあるはずだ!と思って探しましたが、どう考えても最後の答え合わせ的な外人のスケッチブックでぶつかってしまいます。

例えば、コインロッカーの鍵が実は違う場所のものだとか(老夫婦の銃の矛盾を消す)、豊田の話だけ時間がずれてるとか、本当に黒澤が猫を生き返らせてしまっているとか、
あったら面白いだろうなあと思うことを色々考えてみましたが、全部外れでした。
やっぱりアナザーストーリーはないんですかね。

二周目三周目も読むことを考えたら、隠されたストーリーみたいなのがあったらよかったのにと思いました。
ちょっと残念。

まあ、面白かったんで一周だけでも満足ですけどね。笑

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「未来は神様のレシピで決まる」

コンビニ強盗に失敗し、逃げ出した伊藤がたどり着いた所は現実とは隔離されている島だった。
江戸時代から鎖国を続けている荻島では、嘘しか言わない画家や、法として殺人を許された男、未来が見えて喋ることのできるカカシがいるなど、常識では考えられないような世界が広がっていた。

伊藤が島にたどり着いた翌日に、カカシの優午がバラバラにされ頭を奪われるという事件が起き、伊藤は次第に事件に巻き込まれていく_

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オーデュボンとはアメリカの画家で鳥類研究家であるジョン・ジェームズ・オーデュボンのこと。
自分が愛した鳥が絶滅に向かうのを見ていることしかできなかった学者の絵。祈り。
秀逸なタイトルだと思いました。


伊坂さんの作品の中で最も有名な作品ではないでしょうか。
僕もこの作品の文庫版を書店で見つけてから、伊坂さんの作品を知りました。

色んな作品で出てくるカカシの話のオリジナルですね。
正直言って、他の作品で出てくるカカシの下りは無理があって好きではないんですが(個人的にはただのファンサービスではないかと思っています)、この作品はとてもユニークです。
というか、この作品がピークか?と思ってしまいますね。

最初から最後までアブノーマルな世界が一貫していて、異世界に迷い込んだような感じがします。実際そういう話なんですが。笑


カカシの優午は虫が電気信号の作用をして思考をし、口の場所に空けられた風穴によって会話をする。
思考の発生はその仕組みがあるからであって、それを言葉として表すのも空気の振動でしかない。

作中で神様のレシピと表現したのは、未来は現在用意されている材料と手法で決定されるものだということでしょう。優午が徹底して「予言をしているのではなく、予想をしている」と言ったのはそういうことではないでしょうか。


優午が作られる話はとても印象的でしたね。
その話からのラストへの繋ぎ。綺麗な情景です。

ただ、『この島に欠けているもの』というのは必要だったのか疑問です。
静香というキャラクターへの救済と、轟が隠していたこと、ということにしか意味がない気がします。
それも作品の要素の一つなので、きっと意味があるんだろうけど。


生き物は本来同列であるはずなのに、ちょっとした変化のせいでそれが忘れさられてしまう。
善悪の価値観を排除して、本当に正しい事を忠実に描こうとしているように見えましたが、そこであえて城山のような『絶対悪』のようなものを登場させるのは何故だろう。
悪も本能の一つだということを書きたかったのでしょうか。

メインテーマに一本筋が通っているのが感じられるとてもいい作品です。


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普通のサラリーマンとして生きてきたが、特殊な能力を身に付けた安藤とその弟の潤也の話。
「魔王」と「呼吸」の二つの話に分けてひとつの作品になっています。

本屋で何読もうか探している時も、amazonで見た時も思ったけど、人気ですね。コレ

単純に読み終わった感じで評価すると、全てにおいて拍子抜けな感じがしました。
自分の感覚を他人に潜り込ませて、その人の体を使って喋ることができる、というのが安藤の能力ですが、作品を通して見てみても、能力というようなアブノーマルな設定にしているに関わらず能力自体は作品に影響を与えていないという。
無駄遣いという印象。

話が始まってからずっと押している「考えろ、マクガイバー!」というフレーズもなんだかなぁという感じ。笑 1フレーズをとことん押すというのが伊坂小説なんでしょうか。笑

恐らく、犬養という存在を絶対的な正義として書きたかったんじゃないでしょうか。
「信じるな、私を疑え」という犬養に衝動的に突き動かされていく群集とそれに反発の感情を抱く安藤のような人間。
特に何するでもなく死んでいった安藤はむしろ、犬養のキャラクターを作るために書かれたように思えます。

しかし、社会物として書かれてにしては思想や政策などの描き方がどれも曖昧です。
ファシズムへの抵抗を感じながらもそれがもし正義だったら、といったような感じでしょうか。

何にせよ、設定はしっかりして欲しかったですね。


「呼吸」

魔王の後日談といったような、安藤の弟の潤也を主人公とした話。
潤也はある一定以下の確率ならば確実に当たりを引くことができるという能力を持った。

この作品で潤也について書かれていたのは、兄のこと、能力を得てそれをどう生かすかということ。
魔王とは違って、潤也はさらに政治などとは離れて生活する。

これもやはり犬養がメインとしか思えません。


肩透かしの印象を受けている人がいっぱいいるのは、やはりメインの部分、社会物としての設定作りが曖昧だからじゃないでしょうか。

まぁ文学というのは読み手の問題だから、これで楽しめる人がいるならばそれもいいんじゃないかな、といったような感じですね。


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妻を殺した男に復讐を誓う元中学校教師、鈴木
上司の命令だけで動く自分に疑問を持つナイフ専門の殺し屋、蝉
自殺専門の殺し屋だが、自責の念に苦しみながら生きる男、鯨

目の前で復讐相手を横取りされた鈴木が、押し屋と呼ばれる男を追う所から物語は始まる。
様々な思いを抱きながら押し屋を追う三人。その思いが段々と交錯しもつれ合う。

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若干のネタばれも含んでいるので、読んでない人は見ることをお勧めしません。

伊坂幸太郎の作品はこれで何作目か忘れてしまったけど、ほとんどの作品を読んでいると思う。その中でも、中々に面白かった作品です。
正直言うと、初期の「オーデュボンの祈り」や「陽気なギャングが地球を回す」くらいしか好きではないので、あまり期待してなかった分楽しめました。
反抗期なので、映画とかで流行ってると気に食わないんです。笑

伊坂さんの文章はやはりいつも引っかかる部分がありますね。「これはいらないんじゃないか」というかキャラクターが浮いてしまって、作者が喋っているような錯覚に陥る部分が。笑
味と言えば味ですが、どうしても気になってしまう・・。


でも最近の作品としては、久々にキャラクターの存在感がある作品というか、殺し屋達の中での展開がよく雰囲気が出てますね。よくよく考えてみると、主人公だけが裏の世界の人間ではない、という。
そのギャップが面白さの要素なのか。

作品中によく出てきた作者一押しの、『やるしかないじゃない。君の言う通り。』というフレーズは何とも受け入れ難いですね。笑 亡き妻の、亡き妻の、というフレーズも。そういうキャラクターということなんでしょうか。

しかし、蝉の上司の岩西の死に様は圧巻でした。
好きでも嫌いでもない部下に絶対的に信頼を置き、表面的には見せないけど蝉がいい仕事をした時には手放しに喜ぶ。それに対する蝉のクールさというか、岩西の思いを知らない蝉の反応が対照的でかなりぐっときました。自分的に作中一番のシーンですね。

とにかく全体を通してかなり面白い作品だと思います。
やっぱり伊坂さんはハードボイルド的な作品の方が、持ち味な気がしますね。笑


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