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アナログとデジタルの境界が段々となくなるにつれて、『記憶』に関する作品が増えました。
「マトリックス」やアニメの「攻殻機動隊」なんかが有名ですね。

これらは一般的には遠い未来という感覚がするから作品として楽しめますが、技術力の発展というものはその速度を測ることはひどく難しいから、もしかすると近未来という感覚でも間違ってはいないのかも知れません。
それだけに脳に関する作品はとてもナイーブなものですね。


主題はとても難しいものですが、
走行中の電車内で、横で並走している電車に彼女を見るというシチュエーションが綺麗な感じでよかったです。ロマンチックすぎてちょっと恥ずかしいですが。笑

ただ、冒頭の「パラレルワールドを作っているんだ」というフレーズは無理がありましたかね。笑
物語がパラレルワールド的に進んでいくという印象をつけるためかも知れませんが。


物語では脳に関する研究を頭の外側から干渉するという形で行っていて、作中で主人公である崇史が「頭を開けることができたらすぐにできる」というようなことを言っていたが、もしそれが可能だとしたら恐らく物語上の脳に関する研究は違った形で存在するだろう。頭を開けられても、自分の感覚を修復して欲しいと思う人はいっぱいいるだろうし。
そこらへんの設定が曖昧だったような気もするけど、本題はそこではないので問題ないとします。


恋愛と友情の関係について深く考えさせられてしまう作品でした。

その二つの共存というのは色んな形で考えられてきているけど、最終的には綺麗事の形で解決してしまう作品がほとんどですね。

崇史は友情より愛情をとったことに苦しみながらも自分を肯定していますし、その気持ちもよく分かります。しかし、智彦との友情もまた自分にとってかけがえのないものだということも知っている。
友情の方が大切だとして「諦める」形で綺麗に終わるのも一つですが、それでも愛情をとってしまうという形も一つだと思います。どちらが正しいとは言い切れません。

友情という関係のある二人のうちではもう問題は解決していて、その上に真由子を混ぜて考えても解決がないと考えて二人はそういう道を選んだのかも知れませんが、もしそれから逃げずに真っ向から挑んだらどういう形になっていただろうか。
そんなことを考えてしまうラストシーンでした。


それを実現してしまう技術の存在。
技術の発展を何も考えずに歓迎していいのか、考えてしまいますね。


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「光にメロディがあるの?」
「あるさ。みんな、そのことに気付いていないだけさ。」

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光を演奏する、というフレーズがとても素敵でした。

この作品は、東野圭吾さんの作品の中で一番最初に読んだ作品でした。
東野さんの作品に最初に触れたのがこの作品で良かったな、と今になってつくづく思います。
是非読んで頂きたい作品です。


話は、天才的な色彩力を持った光瑠という少年が、光学という光を使って演奏をするという新しい芸術を作り出すことから始まります。
その光に魅せられて集まってくる少年や少女達。その新たな文化に賛同するものと、反発するもの。
生まれた瞬間から天才、っていう設定はあまり好きじゃないんですが、作品自体が面白かったので、問題ないです。笑


光を演奏するなんていうのは、誰もが考え付きそうに思えるけど、斬新な感覚ですよね。
でも考えてみると、五感を使った芸術として音楽なんかが存在しているんだから、普通?なのかな。


作中で光瑠と父親が光学のステージの裏で話している場面。
『人間の感覚器官で最も進化した部分はどこだと思う?』
『そりゃあ目だろう。』

確かに、と思った。
人間の感覚で最も使われている(と思われている)部分は、視覚だろう。
しかし、それに完全に対応している芸術というものはあるだろうか。

音楽なんかは聴覚を使った動的なものだから、同じように視覚を使ったものもあり得るはずだ。
絵画なんかは静的なものだし、ダンスや演劇なんかも、完全に視覚をサポートしているものとは思えない。
それを考えると、作中の光学は完全に視覚のためだけの芸術だ。


当たり前のようだけど、斬新な発想です。

光の演奏という情景を想像しただけでも幻想的で、とても美しいものに感じました。
最近の東野さん原作の映像作品なんかはあまり好きになれないけど、こういう作品こそ映像化するべきなんじゃないのかな。


あと本屋でこれを買った時を思い出すと、完全にジャケット買いだったなあと。笑
表紙の絵がとても素敵です。虹と星が降り注ぐ街という感じで。

こんないい表紙は中々ないなあ。
と思って、Amazonの商品画像を見てみたら、帯が完全に邪魔ですね。笑


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「もうひとつの助走」「線香花火」「過去の人」「選考会」「巨乳妄想症候群」「インポグラ」「みえすぎ」「モテモテ・スプレー」「シンデレラ白夜行」「ストーカー入門」「臨界家族」「笑わない男」「奇跡の一枚」

13の短編からなる『黒い笑い』を持つ作品集だそうです。

東野さんの作品は好きな作品が多いし、あまり人の鼻につく作品は書いてこなかったように思えるのですが、これは大分異質なものだと思いました。
ブラックユーモアというのを取り違えているのか?という気にさせられるのも何点か。

感想というより、文句になってしまいますが、この本で鼻についたこと。

・ダメな作家の典型のようなキャラクターを描く
 -実体験のような感じで描いているような気がして、いい気分では読めない。あえて書く必要などないのでは。

・タイトルで話の内容、オチまで分かってしまうもの
 -良く言えば、分かりやすい話作りだが、単純すぎる。ブラックユーモアを作ってやろう感が丸出しで拒否反応が出てしまう。

・質の悪い笑いをとろうとしているのかは分からないが、受け狙いが見え見えなもの
 -あまりジョークが得意じゃないのかな?


最後の「奇跡の一枚」なんかは、物語色が強くて好感も持てましたが、全体を通して見てみると、一般視点から見るブラックジョークというより、上から目線の自己満足といった感じでしたね。

でも、逆に言えば、東野さんの作品にはこういう負の要素が垣間見えることがよくあるので、東野さん信者の方はこういうものを読んだ方が、他の作品を楽しめるんじゃないかなとも思いました。


ストレス発散のために書いたんでしょうかね・・?
それとも自分の理解を超える何かがあるのでしょうか?謎です。



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ある日、娘が妻になっていた。


-というあらすじです。
ちょっとまとめすぎましたか。

映画にもなっているし、東野圭吾さんの代表作ということで読んでいる人も多いと思うので、あらすじは省略して、本作を考察してみます。

いつものことながら東野さんの文章は、嫌味もなく綺麗にまとめられていて、それでいて単純というわけではないと、一言で言うと読みやすい文章ですね。笑
癖のある文章の方が好みなんですが、ここまで綺麗に書いてあると文句をつける気にもなれません。最初から最後までつっかかるとこなく読めます。

まずタイトルの、「秘密」ということで、何が秘密かということがキーになってきますね。
父親と娘(中身は妻?)が周囲に秘密を持って生きていること。娘(中身は妻??)が父親という夫に対して秘密を持って生きていること。

今まで読んでいて、東野さんは主軸のテーマを大事にする書き方をする人だと感じました。
少々、重心がテーマに寄り過ぎていてバランスが崩れているように感じることも多々ありますが。


何が秘密かということを考えてみます。
今生きているのが、娘なのか、妻なのか。これが主軸ですね。

一見すると、妻の直子の霊、というか意識が娘である藻奈美の体の中に入ってしまった。
言動や行動、記憶からして妻であることは間違いない。

という本筋であるから、何をテーマとするかを逆説的に考えてみると、
妻の行動を自然に振舞う存在が、本当に娘なのではないか、ということではないでしょうか。
それは娘が父親に秘密を持って、偽りの姿を見せているという事ではありません。

考えすぎかも知れないけど、これは脳の可能性の話でもあると考えます。

妻の記憶、行動パターン、娘のことを案じる母親の気持ちなどが、潜在的に娘の中に現れたらどうだろう。事故で妻を亡くした父親を案じて、というわけではないですが、それを本能的潜在的に探りとって状況に対応した結果そうなった。

例えば、妻にしか知りえない記憶を知っていることは、娘が母親から話を聞いた記憶を基に、状況に応じて自分の記憶にすり替えている、ということもあり得ないとは言い切れない。意識的ではなくそれが潜在的に起こっているとしたら。
という形で描いているという解釈もできます。


作品では結局の所、答えを明かすようなことはしていないので、それを探ることに意味はないとは思いますが、妻が舞い降りてきたというような人情的な解釈とは別にそういう形でも作品を見ることができますよね。

とにかく色んな可能性を無理なく作品に詰め込めることに心を動かされました。


また、最後のまとめ方が憎らしい。
コメディ調にするでもなく、明るく終わらせていて、読んだ後の後味はとてもいいものでした。


東野さんの作品はすぐ読み終わるから、読み進めてみようかな。
ただ、量が多いですね。笑


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