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「元気で、元気で! けして急がず、泥の流れていくようにゆっくりとお行き!」

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ハードカバーで持っていますが、文庫を見つけたので買いました。
「プラネタリウムのふたご」に続き、文庫化が中々早い気がしますね。

なるべく常に中立的にいよういようと思っていますが、どうしてもファン目線になってしまいます。笑
こんなに美しい世界の描き方があるのか、と言っても誇張ではないと思います。傑作です。

遠い昔から泥川でうなぎを獲リ続けてきた「うなぎ女」の息子として泥川より生まれたポー。半分は人間、半分はそうではないものとして生を受けた。
彼は何に属すでもなく、あらゆる価値観を持たずに生きてきた。

そんなポーが泥川の流れと共に旅をし、色んな価値観を知り合う人から学んでいく。
絶対的な愛や親愛、罪悪感とその償い。本当に大切なものとは何か。

親しい者の死を通して、自分以外の視点から物を見ることを知る。
それは価値観の発生のようにも思えます。

この物語での重要な要因とは、彼が何に対しても拒否をしないことだと思います。
全てを受け入れる。これは価値観とは何かを語る上で、最も重要なことだと僕は思います。

しかし、そうやって価値観が一つ一つできてくると、その価値観によって何かを否定するという感情が生まれてくる。
作中でうみうし娘が見えなくなったというのは、ポーがその存在が海の近くに住む人たちに悪影響を与えているということに気付いてしまったからでしょう。

悪いものはない。
しかし、感情の発生によって善悪が発生する。

そんなことを改めて気付かされる作品でした。
二回目ですが、かなり最高な作品です。笑

善悪っていうのは何なんだろうな。
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甥が真横で愉快そうに言った。「みんなが可愛がるのは、あれは、毛なんだよ。むわむわとした毛だ、中身じゃなくって。大きい小さいの違いはあっても、中身なんてどれも同じだ。毛がないとそれがはっきり分かるねえ、おじさん。この方が僕は楽だ」

(薄桃色の猫たち より)
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白黒で描かれている表紙が綺麗だなと思って買った短編集です。
それでなくても、いしいしんじさんの作品を読み漁っていた頃なので、まあ買っていたでしょう。

最近、文庫化したようなので文庫版も買ってみました。
心なしかいしいさんは文庫化が早い気がしますね。

きっといつものように不思議な世界観で、真に暖かい作品が書いてあるんだろうな、と思って読み始めたからか分かりませんが、中々読み進めるのに精神力を要しました。

ブラックジョークなどはいつものことですが、ある話なんかは、より混沌に近づいているような印象を受けました。「赤と青の双子」の話なんかがそれですね。
読み終わりは怖くて寒気がした程です。悪意の本質とは何か、人間の本質とは。
気持ちのいい文章を書くだけが作品ではないことを改めて思い知らされました。

しかし、短編集なので小気味良い感じの話もたくさんあり、そういった黒の話を見せられた後に読む童話調の白の話はより清々しく、全体を通して読み応えがありました。

ただ、まだ理解度が低いと思うので多くは語れませんね。
短い短編集なので、興味がある方は読んで見て下さい。

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『だまされることは、だいたいにおいて間抜けだ。ただしかし、だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの、笑いもなにもない、どんづまりの世界になってしまう。』

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冬になると、自分の家の方では星がよく見えます。
と言っても、オリオン座くらいしか分かりませんが。笑

冬に星が見えやすいのは、湿度が低いからだそうですね。湿度の低下で大気中の光の屈折量が下がって、夜空が暗くなって星の明かりが際立つそうです。
外が寒くて夜自転車なんかこいでると嫌になるけど、星が綺麗だったりすると気が紛れていいです。世の中はうまくできてますね。笑

といった話は置いておいて、表題のいしいしんじさんの作品です。
ハードカバーで読んだので、作品自体はよく知っていたのですが、この前文庫版で出ているのを見てついつい買ってしまいました。
完全にファンです、はい。笑


話は、プラネタリウムの座席の下に捨てられた双子の話です。
彗星の名前にちなんで、名付けられたテンペルとタットルは、工場の煙突と光によって白いもやに包まれている村のプラネタリウムで育ちます。

村の人々に囲まれながら、一人はプラネタリウムの解説員に、一人は村を出ることになり手品師になります。どちらも人を 『騙して』 楽しませる生業です。

『真実』について書かれているように思えるこの作品。

この世にあるエンターテイメントは言ってしまえば、人を楽しませるためだけにある、ほとんどが『嘘』です。手品もプラネタリウムも映画も小説も、フィクションは全て作り物です。
しかし、手品は人を騙すことではなく、楽しませることを目的としています。

それはそうだ、と普通は思いますが、その違いはやはり存在していて、ふとした時に顔を出します。楽しんでショーを見ていても 『でもこれは作り物だしな』 と思ってしまう瞬間が確かにあります。

でも、星空はこの世の真実だから正しくて、プラネタリウムはただの作り物だから間違っている、とはなりません。

何を本質と置くかが問題ですが、その二つにも共通点があります。
それは、人が見て楽しめるということ。

中々言葉にするのが難しいですが、
それが本物だろうが作り物だろうが、いいことがあろうが悪いことがあろうが、
それを本質的に許すことができること。
それがこの世を輝かせる約束事ということですかね。


テーマは難しくて、中々表現することができませんが、
本の中で夜空でプラネタリウムで星が輝いて、それを愛する人が存在していて、そして悪がない。そんな世界を見るのはとても心地良かったです。

いしいさんの本には言葉に嘘がないから心をオープンにして読むことができますね。
暖かい一冊です。


あと今気付きましたが、文庫とハードカバーで表紙のデザインが違うんですね。笑
ハードカバーの絵の方が好きかな。笑

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